お知らせ獣医師コラム
動物が高い場所から落ちてしまった、、
動物を飼っていると一度はヒヤッとしたことがあるのではないでしょうか。
- 抱っこしていたら落としてしまった
- 高い場所からジャンプさせてしまった
- ドッグランで遊ばせていたら犬同士で激しく衝突してしまった
ペットの飼い始めや慣れない動物と触れ合った時によく起こる事故です。
気付いた時には時すでに遅く、しょんぼりした愛犬愛猫が足をあげてこちらを見ている、、、
想像したくありませんが、そんな場面に出くわしてしまった方に向けて、本記事では特に動物の骨折を中心に情報を提供していきます。
動物の骨折は外傷性のことが多く、橈尺骨、上腕骨、脛骨、大腿骨といった四肢の骨はもちろん、軸性骨格と呼ばれる椎体(背骨の骨)や骨盤、肋骨など、どこの骨でも起こり得ます。
骨折分類
骨折にはその形状により分類分けすることができます。
単純骨折
非開放性で骨折線が単独の骨折。横骨折、斜骨折などがある。

粉砕骨折
骨折片が3つ以上の骨折。

複雑骨折
開放骨折と同義語。

圧迫骨折
圧迫による骨折。椎骨や踵骨に認められる。

裂離骨折
腱などの付着部の骨が牽引されることで生じる骨折。

捻転骨折
骨の一端が固定されている状態で強く捻じれた時に生じる骨折。

亀裂骨折
皮質の一部の連続性が失われた骨折。特に若齢で生じ、若木骨折と同義。

診断法
基本的にはレントゲン検査によって確定診断を行います。
橈尺骨骨折



大腿骨骨折

治療法
非観血的整復
単純な横骨折で変位が少なく、牽引のみで整復が可能な場合はキャスト包帯や福木による一時的な固定で治療する場合もあります。
観血的整復
上記のような外固定が不可能な場合は手術による整復を試みます。
プレート法
DCP(ダイナミックコンプレッションプレート)
偏心性にスクリューを挿入することで軸方向に圧迫を起こすことが可能なプレート
スクリューホールには傾斜があり、スクリューヘッドがそこを滑り落ちることで骨片間の圧迫が生じるます。

LCP(ロッキングコンプレッションプレート)
ロッキングヘッドスクリュー(LHS)はスクリュー自体をプレートと強く固定させることで、骨片間のより強固な安定性が期待されます。
LCPではDCPのような骨片間の圧迫による手法と、新たなLHSの両方を併用することが可能です。

これらのプレートを症例にあわせて選択することで骨折を整復していきます。
創外固定法
開放性骨折、骨幹中央部粉砕骨折、顎骨骨折、関節固定術などの際には創外固定を選択します。
実際の治療例
橈尺骨骨折整復後



大腿骨骨折整復後

まとめ
動物の骨折は治療介入が早いほど治療成績も良いとされています。
事故が起きたら、ペットの様子がいつもと違ったら、迷わず動物病院を受診するよう心がけましょう。
当院では緊急で骨折治療が行えるような体制を整えて、お待ちしています。