前十字靭帯断裂とは？

前十字靭帯とは膝関節内に存在する靭帯のこと。
大腿骨（ももの骨）と脛骨（すねの骨）を関節内で後十字靭帯と共に十字に繋ぐことで、膝関節の安定性を確保している靭帯の一つです。

主に前十字靭帯は

• 脛骨の前方変位の制御
• 膝関節の過度な伸展制御
• 脛骨の過度な内旋制御

の役割を担っています。

この靭帯が加齢性、変性性、外傷性など様々な理由で切れることで発症します。

症状

以下のような症状が現れた場合、この疾患が隠れているかもしれません

・急に足を挙げて歩き始めた
・最近歩き方がぎこちない
・散歩を嫌がる
・足を触ると怒る

診断法

触診

脛骨圧迫試験、脛骨前方引き出し試験を用いて脛骨の前方変位を検出します。

レントゲン写真

・Fat Pad Signの検出（画像○内）

・脛骨の前方変位（画像矢印）

・膝関節周囲の変形性関節症の有無

などで評価します。

治療法

内科的治療

慢性症例、症状が軽度な症例、麻酔リスクの高い症例に対しては、
・消炎鎮痛剤による疼痛管理
・運動制限
・体重管理の徹底
などの内科治療を行うことがあります。

外科的治療

内科的治療に反応しない場合や明らかな完全断裂が認められる場合は外科的な介入を推奨します。

【脛骨骨切り術】

脛骨高平部(大腿骨と脛骨の接地面)の角度(TPA)を水平化することで脛骨が前方に変位する力を弱める手法です。
当院ではTPLO（脛骨高平部水平化骨切り術)やCTWO(脛骨頭側閉鎖骨切り術)を用いて行います。

【関節外法(Lateral Suture法)】

断裂してしまった前十字靭帯の役割を人工靭帯によって代替する手法です。
腓腹筋種子骨と脛骨にあけた穴を糸で結び脛骨の前方変位を制御します。